古典派オーケストラ 百花繚乱

オルフェオ・バロック・オーケストラ L’Orfeo Barockorchester

 1996年にリンツ・ブルックナー音楽大学内で設立されたオルフェオ・バロック・オーケストラ。それが発展し世界的なピリオド楽器オーケストラのひとつとして今日名声を博するようにまでなりました。

 指揮を執るミヒ・ガイク(Michi Gaigg)は、ヴァイオリン奏者として、様々なピリオド系オーケストラで演奏することにより、巨匠マエストロからスピリットを我がものとし、1983年にバロック・オーケストラ、〈アルパ・フェスタンテ(L’Arpa Festante)〉を設立して独立、指揮者としての活動を始めます。その後、オルフェオ・バロック・オーケストラをリコーダー&オーボエ奏者のカリン・ファン・ヘールデン(Carin van Heerden)と共に立ち上げると、旧来からのレパートリーに加え、未知の作品の開拓に熱心に取り組み話題を提供してゆきます。

 オルフェオの特別のお気に入りレパートリーはフランスの組曲とのこと。シュトゥルム・ウント・ドランクの時代から古典派時代、初期ロマン派までが彼らの活動エリアになります。

 オルフェオは、とりわけオペラ・オーケストラとしての自覚があり、ラモーのオペラ、モーツァルトのオラトリオ〈解放されたベトゥーリア〉や〈ツァイーデ〉、グルックの〈オルフェオとエウリディーチェ〉(ドイツ語版)、テレマンのオペラ〈ミリヴァイス〉、J.ハイドンの〈荒涼たる島〉、G.A.ベンダの〈ロメオとジュリエット〉、ロッシーニの初期の三部作。そして2015年にはモーツァルトの〈偽りの女庭師〉の作曲者自身によるドイツ語バージョンなどなど興味深い作品たちを次々に舞台に上げています。

 古典派シンフォニーの知られざる傑作に光を当てることにも熱心で、隠れた名品を世界初録音として憎いばかりにCD化しています。グルック(Ch.W.Gluck)ミスリヴェチェク(J.Mysliveček)、L.モーツァルト(L.Mozart)、フィルス(A.Fils)、ホルツバウアー(I.Holzbauer)、ヴァーゲンザイル(G.Ch.Wagenseil)のシンフォニー集のアルバムがあり、当サイトでも大変お世話になっています。

 パッションにあふれる生命力豊かな演奏は、古典派の醍醐味を再現するのにぴったり。洗練さに若干欠けますが、それが返って18世紀のオーストリアの空気をそのまま封じ込めたかのような新鮮な雰囲気を伝えてくれます。

【オルフェオ・バロック・オーケストラの演奏シーン】

(2015.7.20)

 

オルフェオ・バロック・オーケストラの公式サイト

http://www.lorfeo.com/en/willkommen/

 

【関連動画】

W.A.モーツァルト:シンフォニー第36番 ハ長調 K.425〈リンツ〉より第4楽章

オルフェオ・バロック・オーケストラ、ミヒ・ガイク(指揮)☆