古典派オーケストラ 百花繚乱

ケルン・アカデミー Die Kölner Akademie

 17世紀から21世紀までの音楽を作曲された当時のピリオド楽器を用いて演奏する団体として1996年にケルンを本拠に設立されたケルン・アカデミー。歴史的視点から考証して楽譜と楽器に適切なものを採用、作曲者の意図を引き出すことを目指しています。

 しかしスピーカー越しに聴くケルン・アカデミーは、学術発表とは対極にある、臆することない表現が素敵な、フレッシュな音楽を繰り広げています。指揮者、ミヒャエル・アレクサンダー・ヴィレンス(Michael Alexander Willens)の性格によるのでしょうか、明るく生命力あふれる音色が印象的なアンサンブルです。

 バロック時代や古典派時代の宗教作品が附属の合唱団と共に質の高い演奏で聴くことができます。しかし何よりもケルン・アカデミーのディスコグラフィで目立つのは、知られざる19世紀初頭の作曲家の作品の発掘・上演が怒涛の勢いであるということです。

 エーベルル(A.Eberl)のピアノ協奏曲、クルーセル(B.Crusell)のクラリネット協奏曲、コジェルフ(L.A.Koželuh)の協奏交響曲、ダンツィ(F.Danzi)のファゴット協奏曲、ノイコム(S.R.v.Neukomm)の管弦楽作品、ホフマン(E.T.A.Hoffmann)のシンフォニー、リース(F.Ries)の協奏曲集、ヴィルムス(J.W.Wilms)のシンフォニーや協奏曲、ロンベルク(B.Romberg)のシンフォニーなど。まさに垂涎のディスコグラフィで、一覧を見ているだけで楽しい気分になります。

 17世紀から21世紀までの音楽を作曲された当時のピリオド楽器を用いて演奏する団体として1996年にケルンを本拠に設立されたケルン・アカデミー。歴史的視点から考証して楽譜と楽器に適切なものを採用、作曲者の意図を引き出すことを目指しています。

 しかしスピーカー越しに聴くケルン・アカデミーは、学術発表とは対極にある、臆することない表現が素敵な、フレッシュな音楽を繰り広げています。指揮者、ミヒャエル・アレクサンダー・ヴィレンス(Michael Alexander Willens)の性格によるのでしょうか、明るく生命力あふれる音色が印象的なアンサンブルです。

 バロック時代や古典派時代の宗教作品が附属の合唱団と共に質の高い演奏で聴くことができます。しかし何よりもケルン・アカデミーのディスコグラフィで目立つのは、知られざる19世紀初頭の作曲家の作品の発掘・上演が怒涛の勢いであるということです。

 エーベルル(A.Eberl)のピアノ協奏曲、クルーセル(B.Crusell)のクラリネット協奏曲、コジェルフ(L.A.Koželuh)の協奏交響曲、ダンツィ(F.Danzi)のファゴット協奏曲、ノイコム(S.R.v.Neukomm)の管弦楽作品、ホフマン(E.T.A.Hoffmann)のシンフォニー、リース(F.Ries)の協奏曲集、ヴィルムス(J.W.Wilms)のシンフォニーや協奏曲、ロンベルク(B.Romberg)のシンフォニーなど。まさに垂涎のディスコグラフィで、一覧を見ているだけで楽しい気分になります。

 上に書き連ねたのは18世紀の終わりから19世紀初頭にかけて活躍した作曲家たちですが、この時代、楽器は急速に発展している途上にありました。「ピリオド楽器使用」と一口にいいますが、現代の演奏者にとってことはそれほど単純ではないようです。

 ピアノもモーツァルト時代は5オクターヴしかなかったものが、ベートーヴェンが亡くなる頃には6オクターヴを超えるものが出始めます。ここではフルートを例に少し具体的なお話をしましょう。

 バロック時代(1750年頃まで)には右手小指に1つしかなかったキーが、18世紀後半には4キーや5キーのフルートが登場、19世紀に入ると音域が下に二度伸びて「ド」まで出るのが標準仕様となり、6や8ないし9キーの楽器が登場してきます。以後キーの数は増え続けます。

 ピリオド・オーケストラの場合、特に木管楽器奏者が用意する楽器はひとつだけではないのです。各々の時代に合わせてあらゆるタイプの楽器を用意しなければなりません。それにピリオド・オーケストラでは、ピッチについても415Hzであったり430Hzであったり当時のピッチ(音の高さ)を採用しますので、それにつれて楽器の長さも替わってくるのですから複雑さを極めます。

 このように何本もの楽器を揃えるだけならまだしも、キーの数が異なることにより運指も異なってきて、楽器によって指使いを替えなければならないという問題も出てきます。例えばフルートの「ファ」はバロックの1キーと古典派の4キー以上と、またモダンフルートとでは押さえる指が大きく異なるのです。

 それでは、演奏者にとってそれらの面倒な(できっとお金もかかる)事柄は負担ばかりなのでしょうか。

 楽器ごとの運指や鳴り方、はたまた吹き易い音形、吹きづらい音形などの違いを感じることを頼りに、各々の時代の音楽のあり方、演奏の仕方を自ずと考えるようになるという大きな利点があるとは言えないでしょうか。そうしたことから各時代の音楽をより身近に感じることができるようになるのです。ピリオド楽器による演奏に真実が宿りやすいのは、演奏者がそのようなフィジカルな直接的な感覚を頼りにしながら演奏している、ということにもよるでしょう。

 ケルン・アカデミーは、このような難しい時代の作品に果敢に取り組み、初期ロマン派の作品の魅力をあぶり出すことに成功しています。その他にブラウティハム(R.Brautigam)とのモーツァルト:ピアノ協奏曲集への取り組み、J.S.バッハの「マルコ受難曲」の復活試演など、興味深い活動を積極的に展開しているケルン・アカデミー。目が離せないオーケストラです。

【ケルン・アカデミーの最新CD、E.T.A.ホフマンとF.ヴィット作品集】

【18世紀末から19世紀初頭にかけてのフルートいろいろ】

(2015.4.19)

 

ケルン・アカデミーの公式サイト

http://www.koelnerakademie.com

 

【関連動画】

W.A.モーツァルト:クラヴィーア・コンチェルト 変ホ長調 K.271〈ジュノム〉

ケルン・アカデミー、R.ブラウティハム(クラヴィーア)、M.A.ヴィレンス(指揮)☆